チオシアン酸アンモニウム（Ammonium thiocyanate）とは

チオシアン酸アンモニウム（Ammonium thiocyanate）は、化学式 NH₄SCN で表される無機化合物で、アンモニウムイオン（NH₄⁺）とチオシアン酸イオン（SCN⁻）から成る塩です。無色の結晶で、非常に水溶性が高く、通常は水溶液の形で使用されます。独特の苦味を持ち、熱や圧力によって分解されることがあります。

この化合物は、主に化学実験や工業プロセスにおいて使用されます。例えば、化学合成においては、さまざまな化学反応を進行させるための試薬として利用されるほか、鉱鉱の精製や繊維の処理にも使用されることがあります。また、発煙煙霧の発生などを目的とした煙火や火薬の製造にも利用されます。

また、チオシアン酸アンモニウムはその化学的特性により、特定の金属の濃度を測定するための試薬や、酵素反応の調査における触媒としても用いられることがあります。反応性が高いため、他の化学物質と組み合わせて使用することでさまざまな用途に対応します。

チオシアン酸アンモニウム自体は通常安全に取り扱われますが、高濃度で摂取したり、長期間にわたって接触したりすると健康に害を及ぼす可能性があるため、取り扱いには注意が必要です。また、加熱したり、高温で長時間保存したりすると、発火や有毒ガスを発生させる可能性があるため、適切な保管と取り扱い方法が求められます。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。