フェニルボロン酸（Phenylboronic acid、化学式 C₆H₅B(OH)₂）とは

フェニルボロン酸（Phenylboronic acid、化学式 C₆H₅B(OH)₂）は、芳香族ボロン酸の一種であり、ベンゼン環にボロン酸基（–B(OH)₂）が結合した構造を持つ化合物です。白色または微黄色の固体として存在し、有機合成や材料科学の分野で重要な中間体として広く使用されています。フェニルボロン酸の主な用途の一つは、鈴木・宮浦クロスカップリング反応（Suzuki-Miyaura coupling）におけるボロン酸成分としての役割です。この反応は、有機ハロゲン化合物とボロン酸をパラジウム触媒の存在下でカップリングさせて、新しいC–C結合を形成する反応であり、医薬品や機能性材料の合成に欠かせません。

また、フェニルボロン酸は糖類（グルコースなど）との結合能を持つ性質から、糖センサーやドラッグデリバリーシステムの材料としても注目されています。水溶性やpH感受性を持つため、生体関連の応用にも適しています。

取扱いの際には空気中の湿気を吸収しやすいため、密閉容器で保存することが推奨されます。

※一部商社などの取扱い企業も含みます。